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妄信 相模原障害者殺傷事件  著者:朝日新聞取材班 評価:★★★☆☆

 

妄信 相模原障害者殺傷事件

妄信 相模原障害者殺傷事件

 

 死者19人、重軽傷者27人を出した
平成以降、最悪の殺傷事件はなぜ起きたのか──。
朝日新聞」連載・記事を加筆、再構成し書籍化。
数々の証言から容疑者の特異な行動や思考の背景を検証するとともに、
社会に根強く残る障害者への差別意識についても報告。

 

 

【この本の紹介】

「相模原事件」の画像検索結果

 

 

 

 平成28年7月26日に神奈川県立の知的障害者福祉施設津久井やまゆり園」にて元職員により19人殺傷、26人に怪我を負わせた平成大事件の一つである。

 この本は被害者遺族や元職員、そして加害者に取材を行ったものを本にしたものである。内容としては以下のようになっています

 

1章:加害者が事件を起こすまでの人生

2章:事件に巻き込まれた被害者・被害者家族のそれまでの人生とその後

3章:加害者の責任能力の分析

4章:加害者に対して行われた治療の不備、そしてその後の行政の対応

5章:事件発生後のやまゆり園の建て替え問題

6章:あ、これ朝日新聞出版だと感じさせられた章

7章:現場で働く職員の現実と悲鳴

8章:障がいをもった家族をもつ人たちの想い

9章:障がい者福祉のこれまでの経緯とこれから

10章:対談とその後のやまゆり園でおきたこと

補章:被害者の名を伏せるべきか、公開するべきか

 

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  このようになっています。この本はあくまで相模原事件に巻き込まれた人、関わった人たちのそれまでと受けた影響を取材したものがメインであり、この事件が起きた社会的背景や分析といったものがメインではありません。

 そのためこの本は「相模原事件の表から陰までを知りたい」という人向けです。加害者の異常性ばかりが報道された事件でしたが、この事件のその後まではどこの局も興味ないとばかりに見向きもしなかったからです。こうみるとほとんどのニュースもワイドショーと大差ないものになってるなとも感じました。

【印象に残った話】

「相模原事件 マスコミ 献花」の画像検索結果

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 この話で印象に・・・というより胸糞悪かった話というのが、マスコミの被害者遺族に対するストーカー、待ち伏せ、プライバシーの詮索という「なんでこいつら被害者遺族に袋叩きにされずに済んだんだ?」というようなことをしています。

 具体的には遺族は身内に障がい者がいたことを世間に知られたくないという人も多く、警察もそれを尊重して被害者の実名の公表を控えました。しかしマスコミにとっては取材対象の情報が無いという事態。そこで現場に献花をしにきた遺族を待ち伏せ多数のマスコミで遺族を囲んで逃げられないようにして情報を引きずり出すという手法。また事件周辺で「あなたの周りで亡くなった障がい者はいませんか?」「そんな人知りませんか?」と聞き込み。中には激怒して泣き叫ぶ人もいたそうで、むしろその程度でよく済んだなというゴミっぷり。筆者も悩みながら取材を続けたと書いてますが、「ああ、悩む程度の理性はまだ残ってたんだ」と感じました。