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殺処分ゼロの理由  熊本方式と呼ばれて 著者:松田光太郎  評価:★★★☆☆

 

殺処分ゼロの理由―熊本方式と呼ばれて

殺処分ゼロの理由―熊本方式と呼ばれて

 

 

 

 

熊本市動物愛護センターについて】

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 最近だと「志村どうぶつ園」で目にする人もいるであろう「動物保護管理施設」。捨てられたペットや保護された野良動物を里親に譲渡できるよう治療
・教育するところとなります。保護も兼ねたペットカフェなども類似施設となります。
この本で取り上げられた「熊本市動物愛護センター」もそんな施設の一つ。「殺処分0」を達成した施設として話題になったこともあり、知っている人もいると思います。
一方で「他の自治体に持ち込まれる数が増えただけ」「持ち込むかわりに捨てる人が増えた」と批判の声があるのも事実ですが、ここでは割愛します。

 

【この本の紹介】

 

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 それでは熊本市動物愛護センターについて触れたところで、この本は熊本市動物愛護センターが熊本方式と呼ばれるまでに起こったきっかけや経緯、そして熊本方式だけでなく地域全体で行っている野良猫保護活動(管理活動?)をスタッフの一人として関わった獣医師の視点から触れています。

 前にペット流通の闇という本の感想を書きましたが、あちらはペット業界と制度について触れた本で、こちらは捨てペットの保護活動について触れた本です。

 

osusumehon.hatenadiary.jp

 

 ただし本全体で200ページ未満の文庫サイズであるため、それぞれの要素は浅く触れられる程度です。具体的な以下のようになっています

1章:一動物管理センターだった熊本動物管理センターが、殺処分0施設に向かっていくきっかけとなった経緯

2章:殺処分0施設になるために始めていったこと

3章:官民一体で殺処分0を目指していく流れ

4章:地域における野良猫保護活動

5章:水面下での活動

6章:口蹄疫など、獣医師からみる社会的事件

 

 熊本の施設について触れているのは1~3章がメインとなるので、もっと詳しく知りたい方は別の本をお勧めします。というよりこの本のタイトルだったら、熊本の動物管理センターがメインだと思ってしまうんですけど・・・・実際は半分程度で、殺処分0に関わったスタッフの様々な活動記録としての要素が強い本です。

 

 【この本で印象に残った話】

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 これだけではなんなので、この本で印象に残った話を。第1章で殺処分0を目指す経緯として書かれていた話ですが、このような管理センターでは、定期的な保護動物の譲渡会が行われています。もちろん熊本でも譲渡会を行い、無事里親が決まっていく中で職員たちは喜びに満ちていました。

 しかしその光景は徐々にペットを求めるオークションのような異様な雰囲気を持つようになっていき、ついには「去年も増えたペットの引取り先でお世話になりました。今年も宜しくお願いします」という、増えたペットの処分先として利用する人間さえ出てきて、これでは本末転倒じゃないか!というのが2章へのきっかけだったと語られています。

 動物愛護団体の理論として「このような施設があるから簡単にペットを捨てる人が増えるんだ」と批判するものがありますが、それを象徴する事件となっています。いや、そんな脳みそで動物飼うやつが100%悪いんですけどね。こんなん包丁で人が死んだから鍛冶屋を逮捕しろというのと同じ理論ですからね。

 

 浅く広くな本なのて、深い問題や制度の不備については触れていません。そちらが見たいなら「犬を殺すのは誰か、ペット流通の闇」のほうがいいです。