ノンフィクションと評論書籍の感想を述べる

ノンフィクション・評論本に絞り実際に読んだ感想を述べていく

 冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場  評価:★★★★☆   

 

冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場

冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場

 

 

2015年8月、各マスコミがいっせいに報じた人気作家、まさかの「DV逮捕劇」。9日間にわたって渋谷警察署の留置場に閉じ込められたのち釈放、不起訴処分が下された。この体験を通じて、冲方氏が失望を禁じえなかったのが、世間の常識などいっさい通用しない警察、検察、裁判所の複雑怪奇な実態だ。誤認逮捕や冤罪を生み出しかねない「司法組織の悪しき体質」を変えるには?ベストセラー『天地明察』の作家が世に問う、日本の刑事司法の不条理な現実。

 

 【この本紹介】

 今回紹介するのは作家・脚本でおなじみの沖方丁さんが突然のDV事件で逮捕され、その後不起訴に至るまでを描いたノンフィクションエッセイです。まず「沖方丁って誰?」という方に説明しますと作家としては映画にもなった「天地明察」、SFライトノベルの黄金時代の始まりの「カオスレギオン」などを書いており、脚本としてはアニメ「蒼穹のファフナー」「ヒロイックエイジ」などを手がけています

 

 

天地明察

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蒼穹のファフナー Blu-ray BOX (初回限定生産版)

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  この蒼穹のファフナーの続編にあたる蒼穹のファフナーEXODUSの放送中にDV逮捕という報道がされました。そのため「あれ?これ今後のファフナーどうなるんだ?」とファンは戦々恐々としていました。結果無事に放送はされましたが

「沖方 DV」の画像検索結果

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 この本はそんな沖方丁がDVで逮捕→拘留→裁判→不起訴処分となるまでの内容を書いた本になります。

 まずこの本を読みたいという人の中には「沖方丁が実際にDVしたかどうか。その後どうしたのか」を知りたいという方も多いと思いますが、残念ながら最終的にどうなったのかは描かれていません。結局DVはあったのか、妻の訴えは何だったのか、その後この夫婦はどうしたのかは書かれていないんですね。なので不完全燃焼が否めません。

「沖方 DV」の画像検索結果

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 もともとこの人は夫婦関係においても香ばしい発言が多かった人ではあるので普段の夫婦生活がどうだったかはわかりませんが、本書を読む限りこのDV事件に関しては警察側の腐敗っぷりが招いた自作自演もしくは妻側のでっちあげということになります。

 妻が殴られた現場といったエントランスの映像は警察が回収してるし、前歯折れるほど殴られてるなら殴った手も裂傷くらいはあるでしょうし、それらをもって証拠不十分とし、警察側も後半明らかに態度を変えていますので。

 

 【沖方丁のDV事件の真相ではなく、警察・検事・裁判の腐敗を実体験で描いた本】

 エッセイということもあり一人称視点でこの本を描かれていますが、さすが作家というべきか読みやすい。本自体も文字がびっしりというわけでなく適度な余白があるので目が疲れない。

 そしてこの本はDV事件の真相よりも、取調・拘留を受けた間の警察官の横暴・腐敗きわまる扱い、そして裁判の問題点に重きを置いています。そのため最後のページでは映画「それでもボクはやってない」の監督との対談も描かれており、そこでは監督を交えての警察・検事の腐敗が語られています。

  「拘留所」の画像検索結果

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 特に拘留中の扱いはすさまじいものがあります。そら徹底的な自殺防止策を行うわと思うほど。ただその自殺防止策がますます精神的に追い込んでます。そうやって精神的に追い込んで「もう冤罪でもいいから認めてここから出たい」と罪を認めさせることも目的に一つだそうですが。

 この本は一人称視点であり警察・検事に対する恨みもあるのでしょうが、警察・検事の扱いは前面悪人です。褒めるところが最初から最後までありません。そのため警察・検事職につとめる人は発狂して本を破り捨てる可能性があるくらいです。でも「あ~わかるわ。きっとこの人上から圧力かけられて嫌々やってんだろうなぁ・・」とも感じるかもしれません。上層部に徹底的に圧力かけられて嫌々取調べしてる場面もあります。

 

 まとめとしては「警察・検事の現場での腐敗を一人称で描いた本」となります。事件の真相については不明なのでその点はあしからず。

 

 そういえばラジオ・シネマハスラーの「日本で一番悪いやつら」の回で宇多丸さんの知人がこんなことをいってたそうです。

 「神奈川県警とか不祥事のデパートといわれいますが、まだ不祥事がばれるだけ警察の中では透明な組織です」