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本と映画の感想と雑記の記録

できるだけネタバレなしで本や映画の感想と評価をしていきます。あとおまけで雑記を・・・

ジャンル:ミステリー・社会派  水鏡推理1   評価:★☆☆☆☆

正義感を発揮するあまり組織の枠を越え暴走してしまう文科省一般職ヒラ女性職員・水鏡瑞希。役所は彼女を持て余し、研究費不正使用を調査する特別チームに配属する。税金を掠め取ろうとする悪者の研究開発の嘘を見破れるか?抜群のひらめきと推理力を持つ美女公務員の下克上エンタテインメント!

 

 ミステリー定番の松岡圭祐さんの女性主人公ミステリーシリーズ。主人公(ヒロイン?)の瑞希は官僚でも一般職と称される立場の人間であり、そのことから総合職の官僚から邪険に扱われ、常に見下された態度を取られます。そんな主人公がその能力を発揮し、周りの圧力にも挫けず結果を残していく。それによってまわりも徐々に変わっていくという王道主人公ものです。

 ただ今回の作品。こういってはなんですが評価はそうとう悪いです。理由はこのあと述べますが、この作品が好きな方は覚悟して読んでください。

 【読むリズムの悪さ】

 今回の水鏡推理は官僚世界での研究がテーマとなるため、専門用語やその説明が数多く登場します。そのため難解な専門用語の登場による、読むリズムが止まってしまうという現象が発生します。特に宇宙工学や地震学あたりは「????」となる部分がありました。

 【魅力のない悪役】

 またこの作品のテーマの一つが「一般職という立場上、本人の能力関係なしに不当に過小評価され、扱いもぞんざいにされる主人公がその能力を発揮し周りにぎゃふんと言わせる」というスカッとものの要素があるのですが、これの弱点は登場人物に嫌味なキャラが増えることです。その上この作品の悪役は、官僚の無能ぶりを強調したいためか、魅力の全く無い嫌味な小悪党しか出てきません。4つある話のうち4つともこんな悪役しか出ないため、終始嫌味なセリフばかりでフラストレーションが溜まります。

 また悪役以外のちょい役も終始嫌味です。登場人物の8割は一般職を見下し嫌味を言っています。そら主人公の逆転劇を強調するためには周りの評価が低いことをアピールすることは大事だろうけど、いくらなんでも嫌味が多すぎです。

 【4章全部同じ展開】

 またこの作品は官僚世界とその関連企業という狭い世界で展開されるため、どれも話を構成するパーツが同じなであり、展開も同じです。

 1.瑞希が不正のほころびを発見し指摘する。

 2.「一般職がでしゃばるな!」と圧力をかけられる  

 3.圧力に屈せず調査を行い、天性の閃きで真実を発見  

 4.不正を行った関係者ぎゃふん  

という展開が4回にわたって続きます。つまり展開がすべて同じなんです。なので読んでてもあまり新鮮味がありません。

 【あまりに閃きがよすぎる主人公】

 おそらく一番の問題点、それが主人公である瑞希があまりにも閃きが良すぎるということです。1の証拠でいつの間にか真実を導き出してます。証拠を見つけてからの推理パートがおそろしいくらいに短く、ひどいときは最初から真実に気づいてて、その真実を決定付けるために証拠を集めるなんてこともあります。「なんでそれだけの能力と知識あって一般職なん?」なんて思ってしまったらもうお終いです。

 そしてその主人公の閃きの理由も納得できません。その辺りはネタバレとして触れませんが「家電量販店で接客のバイトしてたから新世代の家電の設計が出来るんです!」と言われて納得できる読者はいないと思います。極端な例に思いますが、ほんとこんな理由と説明されるんですよ・・・主人公の思考方法については。

 前に読んだ特等添乗員αのほうはよかったんだけどな・・・あっちは主人公の成長の過程もなぜ落ちこぼれとされていたかの説明もあったし。