ノンフィクションと評論書籍の感想を述べる

ノンフィクション・評論本に絞り実際に読んだ感想を述べていく

お金が貯まるのは、どっち!? 著者:菅井敏之 評価:★☆☆☆☆

 

お金が貯まるのは、どっち!?

お金が貯まるのは、どっち!?

 

 ■たちまち40万部突破!

■元銀行支店長が教える
お金を増やす25の法則

あなたの給料は、どの銀行に振り込まれますか?
メガバンク? それとも地元の信用金庫?
では、なぜその銀行を選んだのでしょうか?

もしも「なんとなく……」だとすれば、
あなたの将来はかなり不安です。
選ぶ銀行によって、
お金持ちになることもあれば、
その逆もあるんです。

大切なことは、
つねに「お金が増える選択」をすること。
成功者たちは、銀行も、保険も、住宅も、
資産を増やすために、
かならず明確な意図をもって選んでいます。
その意図さえわかれば、
あなただって資産を築くことができる!

では、あらためて先ほどの質問に戻ります。
あなたは、メガバンクと信用金庫、
どちらを選んでいますか?

じつは、どちらがお金が貯まるかというと……

 

 

【この本の紹介】

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 お金を貯めれる人間はどのような行動や習慣をとっているのか。それを元銀行マンである著者が解説した本。最初この本のタイトルを見たとき「なるほど、二択を用意してそれぞれの制度や具体的な数字を出しつつ比較している感じか」と予想していましたが、蓋を開けてみたらまさかの「中高生向き貯蓄について学ぼう本」でした。

 

【具体的数字・制度などが全くでてこない】

 例えば「賃貸と持ち家、どちらがお金が貯まるか」というものについてですが、皆さんが考える解説は「持ち家だと住宅ローン減税があるため○年間で見るとこれだけ安くなる。ただ賃貸では住居手当もあり、持ち家も次のような減価償却・保険料などかかる面が・・・」という具体的な数字を用いたものだと想像すると思います。しかし本書は「持ち家は人に貸せて賃料が取れる。賃貸はいくらお金を払っても積立にならない。だからお金を貯める人はみんな持ち家にしてる」以上です。いや、そんなのわかってんだよ!!もっと具体的な部分に触れろ!!というものばかりでした。

 おまけに後半になると精神論ばかりになってきて、ますますこれじゃない感が強くなっていきます。

 

【総括】

 中高生がお金を貯めるということに興味を持った際に最初に手に取る本としてならお勧めです。それ以外が読んだら「この本を買わないことが貯蓄だったな」と思うかもしれません。

保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいこと 著者:片野 ゆか  評価:★★★★★

 

保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいこと

保健所犬の飼い主になる前に知っておきたいこと

 

 「うちのコになってくれてありがとう」。行き場をなくした犬を引き取るプロセスを詳しく紹介する、“今どきの犬との出会い方"案内。

 

 【この本の紹介】

 

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 これまで「ペット流通の闇」や「殺処分ゼロの理由」といった、ペット流通において捨て犬・猫が増える理由、そして捨てペット0に取り組む団体を扱った本を紹介してきました。

 この本はその中で「保健所で犬を引き取ること」に重点を置いた本となります。著者は実際に保健所から犬を引き取り飼っていた経験のある方であり、古くからペット保護を取材している方になります。そのため「保護施設から犬を引き取って飼う」ことをメインとしているため、犬の飼い方指南書とはまた違います。

 大まかに各章は以下のようになっています。

1章:保護犬を引き取る様々な方法

ここでは動物愛護センターから民間団体、また一時預かり体験制度などよく知られているものからあまり知られていない保護・譲渡について触れられていました。

2章:犬を飼うのに必要となること

なぜ捨て犬は増え続けるのか。そして実際に犬を飼うとしてどれほどの費用が一生にかかるのかが説明されています。ちなみにここで紹介された金額は新車が数台買えます

3章:引き取る犬の選び方

子ども犬でなく成犬を引き取るメリット。そして犬種で選ぶことのメリット・デメリット。そして実際に犬との対面をする際に気をつけること。またどのような点を見て選ぶべきかが説明されています。

4章:飼い主の資格

譲渡する際の飼い主として許可される様々な条件。そしてなぜ愛護センターや保護団体があれだけ厳しい条件を課すのか。そこには「また捨てられたら意味がないから」というものだけでない闇がかかれています。

5章:動物愛護の歴史

これまで動物愛護というものがどのような歴史を歩んできたか。そして昨今はどのように変化しているのか

6章:愛犬の守り方

犬が行方不明になったときの探し方。また予防方法や出来るだけすぐに発見してもらえるようなアイテム。そして災害時にペットをどうするべきか

7章:著者の引き取り実体験

実際に保護犬を引き取った著者がどのようなことに悩み、そのときどのように解決したかの実体験が書かれています。

 

  ちなみに「ペット流通の闇」はこの本でもペット業界の実態を知るための本として推薦されています。なので先に上の本を読んでからこちらを読んだほうがすんなり読み進められます。

 

【書籍としての評価】

 ページ数にして200ページ足らず。それほど難しい言葉も使っていないため、「犬を飼いたい!」というお子さんに最初に読ませて現実を教え込むか、読書感想文にもお勧めではないでしょうか。

 

【総評】

 

 保健所で犬を引き取るということについて詳細に触れた本であるため、最近の志村動物園での保護犬特集や他のもので「保護犬を引き取って飼いたい!」という方はまずこの本を取ってください。そうすればなぜ譲渡においてあれだけ厳しい条件をかすのかや、行政などが様々な講習などをするのかがわかり、実際に引き取るときにすんなり受け入れられると思います。そして何より、犬を飼うことがどれだけのお金がかかり、どれだけのことをしなければならないのかを飼う前に知ってください。

 

親権と子ども 著者:榊原 富士子 池田 清貴   評価:★★☆☆☆

 

親権と子ども (岩波新書)

親権と子ども (岩波新書)

 

 親権は誰のためにあるのか。増加する離婚の時に登場する親権。子どもの親権をめぐる争いは10年前の3倍以上になっている。年10万件の相談がある子どもの虐待では、親権は子どもの救出を阻む「壁」にもなりうる。弁護士として実務経験も豊富な著者たちが、子どもの視点を盛り込みながら、具体的に解説する

 

 

【この本の紹介】

 弁護士による親権と子どもに関する様々な行政・裁判所などの動きを解説した本。第1章では親権そのものを解説、2章では離婚と子ども、3章では親権と虐待、終章では子どもからみた親権となります。

 各章ごとに基本的な解説から始まり、時代ごとに虐待や離婚に関する法律や情勢がどのように変化していったか。そして具体的なケースが提示され、それに対する行政や裁判所など様々な機関の対応や段階ごとに処理のされ方が解説されています。

 

【教科書に近い感覚の本】

 弁護士が解説しているだけあって、書かれている根拠や行政の執行がどの法律に基づいて行われているかが逐次記載されています。書いてあることに対し根拠となる法令が一つ一つ用意されているため、読んでいて説得力はありました。

 ただ淡々と解説していることもあり。趣味として読むには退屈な本となっています。そのためこの分野を学術的に学びたいという人以外にはあまりささらないと思います。

 

 【総評】

 趣味としての読み物としては×。この分野を学ぶための書物としては○です。この分野の論文を作りたい際には、導入の本としても使えると思います。

モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い  著者:福田ますみ  評価:★★★★★

 

モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い

モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い

 

 たった一人の母親が学校を崩壊させた。
不登校の高一男子が自殺した。久々の登校を目前に──
かねてから学校の責任を追及していた母親は、学校に全責任があると
校長を殺人罪刑事告訴する。
人権派弁護士、県会議員、マスコミも加勢しての執拗な追及に、
高校は崩壊寸前まで追い込まれ、教師と同級生、保護者たちも
精神的に追い詰められていく。
だが教師たちは真実を求め、法廷での対決を決意した。
前代未聞の裁判で明らかになっていったのは、子供を死に追い込んだ
母親の「狂気」だった。
どの教育現場にも起こり得る「恐るべき現実」を描ききった
戦慄のノンストップホラーノンフィクション。
「被害者」の皮を被った「加害者」に気をつけろ! 

 

 

【この本の紹介】

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 昨今のマスコミ報道については偏向報道があまりに露骨となり、マスコミはもはや報道機関でなく世論操作団体となった日本において、その姿を象徴した事件の一つ。この本を読むにあたっては、上記の風刺画と人権派弁護士、マスコミへの評価が地の底に堕ちる」ことを念頭に置いた上で読んでください。「そいつらへの評価なんてとっくの昔に地の底だよ」という人は安心してください。地の底抜けて地球に穴が開きます。

「丸子実業 いじめ」の画像検索結果

 

 

「事実は小説より奇なり」という言葉を体現した事件。当初は部活中のいじめによる自殺してしまった息子を悲しむ母親とそんな事実を認めず逃げる学校側という構図が描かけて「やったー!学校と行政叩けるぜさいこー!」と学校加害者構図を作ろうとしたマスコミ各所だったが、その母親の狂気っぷりにマスコミさえ「あれ?この母親やばいんじゃ・・」とあの朝日でさえ距離をおいた事件です(毎日と週刊金曜は糞でした)

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 この事件で登場する加害者の母親の狂気は前に紹介した「妄信」や「護衛艦たちかぜ」の加害者をも越えたサイコパスです。殺人事件として報道されなかったことと、マスコミの腐敗のおかげで大々的に報道されていないだけです。昔「サイコパス狩り」という小説を紹介しましたが、その小説に出てくる大量のサイコパスなんてかわいいレベルです。

 

【登場最初からすでに言動や行動が上記を逸していた母親】

 この事件の加害者は登場初っ端から頭がおかしいとわかる母親と、そんな母親の妄言を妄信して証拠や裏づけもろくにせず最後まで非を認めなかった自称元人権派弁護士です。

 まず母親に関しては、ここでは書ききれないほどの奇行・・いや、狂行を最初から最後まで貫きます。なんといったって、周りの保護者が「あの母親は異常すぎる」「あれは学校で対処できるレベルじゃない。」と学校側に提言するレベルです。普通はこの母親側に付く流れになりやすいのですが、それが起こりえないレベルの人間なんです。まあ、その保護者たちも精神おかしくなるくらいのことをされるからしょうがないのですが・・・

 とにかく本書を読んでもらえれば「ああ、そりゃ書ききれないわ」と思うとおもいます。現実にこんな人間がいたということは、まさにノンフィクションホラーです。

 次に高見澤弁護士。「なんでお前弁護士になれたの?」というような弁護をする上で最低限の調査、証拠の確認さえ行わず一方的に学校側を殺人鬼として起訴した存在です。この事件では他にもろくな診断もせずうつ病と診断した、明らかにうつ病ビジネス目的の医者や最後まで偏向報道をやめなかった毎日・週刊金曜など胸糞悪い存在がうじゃうじゃでてきます。多くの保護者やOBなどは学校側の味方になってはくれているのですが、それでも胸糞悪いです。

 

【書籍としての評価】

 それでは純粋に読み物としての評価をしていきたいと思います。ページにして250P程度。2~3時間程度もあれば読み終えられると思います。この本は学校側視点で書かれていますが、まあこの母親側で書けというのはまだメダカの気持ちを想像するほうが簡単でしょうからしょうがないのですが、学校側の視点のみで描かれるため、一方の意見しか書いていないという問題はあるかもしれません。ただインタビューしようにも、出来る相手がまともに取材できないという・・・

 基本的に図や写真といったものはないですが、視点がころころ変わるような文章でもないため構図をえがきながら読む必要はなくあまり疲れない文章だと思います。

 

【総評】

 昨今は大津いじめ隠蔽事件など、学校・行政側の腐敗により起きた事件が大きく報道されましたが、真に加害者なのは誰かということを象徴する事件です。教育に携わる人はこの本は読んでおくべきだと思います。

 あ、最後に述べておきます。「親たるもの子どもが自殺したのなら心配するのは当たり前だろうが」という素晴らしい意見を言う人もいるかもしれませんが、この母親は親としての最低限の義務さえしていないことが後半でわかります。この加害者に「親だから」は通用しません。

 

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科学捜査ケースファイル  著者:ヴァル・マクダーミド 評価:★★★☆☆

 

科学捜査ケースファイル―難事件はいかにして解決されたか

科学捜査ケースファイル―難事件はいかにして解決されたか

 

 科学捜査というのはそれ自体が心の踊る仕事であり、それを職にしている人々は、
率直に言って、とびきり素晴らしい人たちなのだ。
(本文より)

200年におよぶ歴史をもつ科学捜査。
犯罪解決に役立てられ、ドラマや小説の題材としてたびたび取り上げられ、
ある意味では私たちにもなじみ深いものでもある。
しかし、DNA鑑定、指紋、毒物学、プロファイリングなどについて、どんなことを知っているだろうか。
英国のベストセラー作家、ヴァル・マクダーミドは、科学捜査の現場を歩き、
第一線で活躍するエキスパートへのインタビューをとおして、
性犯罪、放火、強盗、暴行などの事件解決に科学捜査がどのように役立てられているかを、
その発展の歴史とともに浮き彫りにする。
犯行現場から法廷へと続く、科学捜査をめぐる旅。
【2016年アンソニー賞 批評/ノンフィクション賞 受賞】

 

 

【この本の紹介】

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1章:現在の警察捜査における科学捜査の立ち居地

2章:火災現場における科学捜査の役割

以降、昆虫学・病理学・毒物学・指紋・血痕・DNA・人類学・復顔・デジタルフォレンジック・法心理学・法廷 といったものを各章ごとに各科学捜査の始まり、発展の歴史。そして大きな転機となった事件や人物を説明した本となります。科学捜査の各分野がどのような起源で生まれ、発展していったかを知りたい方にお勧めとなります。

 

【科学捜査を賛美した本ではない】

 

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 このような本となると、扱う内容を賛美した、いい面しか描かないことが多いですがこの本は各科学捜査が貢献した事件でなく、それら科学捜査が事件を混乱させてしまった事例や問題点なども扱っており、第三者視点で描かれた客観的な作品です。

 

【扱われている事件は100年~50年前の事件が多い】

 

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 科学捜査の発展のきっかけとなった事件が具体例として出るため、多くの事件が100~50年前のものが多く、事例を見てもピンとこないものが多いと思います。自分が知ってたのは切り裂きジャック事件くらいでした。中には10年前くらいの事件もありますが、それでも全国的な事件がなく海外で起きた事件しかないため、なかなか想像しにくいと思います。

 

 

 【とにかく情報量が多い、裏をかえせば読むのに体力がいる本】

 上記にも記したように各科学捜査ごとの発展や事件などが描かれているため、多くの登場人物や地名が次々に登場します。そのため次のページをめくると全く異なる人物の人生が突然書かれてたり、別の時代・世界の事件に突然触れられたりするため、図を描きながら読めないと混乱すると思います。また図式や表も少ないため非常に文章が詰め込まれており、文章を読むのが得意な人でないと体力を使うと思います。

 

 

自衛隊の闇 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って    著者:大島 千佳 評価:★★★★☆

 

自衛隊の闇: 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って

自衛隊の闇: 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って

 

 

若い自衛官のいじめ自殺裁判で、重要証拠が隠蔽された。「自衛隊は嘘をついている」自衛官としての誇りを胸に証言台に立った男の軌跡!早稲田ジャーナリズム大賞受賞のドキュメンタリー、さらなる取材を追加し書籍化!

 

 

【この本の紹介】

 

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 この事件は04年に起きた現役自衛官の自殺、そして残した遺書に書かれたある上官への憎悪に満ちた言葉から始まった、遺族と国・自衛隊による自殺の原因を争った裁判の結果・そして関わった人たちのその後を描いた話となっています。

 遺族が勝訴を勝ち取るまでに行われた自衛隊・国による徹底的な隠蔽、その中で遺族側がどのような争点を用い、裁判が行われる中で起きた様々な事象を時系列で語られた本であり、自衛隊という組織の汚点や問題について語る本ではないことを予めご了承ください

 

 

 【本内に常に蔓延する後味の悪さと理不尽さ】

 この本を通して描かれるのは「自衛隊に蔓延する私的制裁の蔓延」「徹底的な隠蔽体質」、そして「正直者は馬鹿を見る」という理不尽にまみれた現実です。

 

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 このように国が関わる裁判ではもれなく裁判所もクソ化します。つまり徹底的に国に肩入れするわけです。

 亡くなったTさんに暴行を加えていた上官は、日常的にガスガンで部下を射撃してストレス解消、さらに恐喝でアダルトビデオをぼったくりで買わせるなどといったことを平然と行い、誰もそれを咎めるどころか公認、他の上司への相談、カウンセラー・相談窓口もすべて上官に筒抜けで役立たずで精神を追い詰められて自殺に至りますが、裁判側はこれらの事実を知った上で「ストレス解消で日常的な恐喝、あざになるほどの暴力を日常的にしていても自殺するなんて予想つかないからそれは罪に問わないわww」との判決を下します。サイコパスかな?

 とにかく本当に「お前は何をいっているんだ 」という展開が終始続きます。はっきりいって胸糞悪いです

 

 【総評】

 この書籍は文章もすっきりしており、字が詰め込まれた見づらい構成にもなっていないので、本の厚みに対してそんなに読むのに時間はかかりません。変な方向に話が展開したりもしないので、シンプルに読みやすい本だと思います。

 

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騙されてたまるか 調査報道の裏側  著者:清水 潔  評価:★★★☆☆

 

騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

 

 『桶川ストーカー殺人事件 遺言』『殺人犯はそこにいる』が話題沸騰中の著者・清水潔、待望の新作ノンフィクション!

国家に、警察に、マスコミに、もうこれ以上騙されてたまるか!
警察よりも先に犯人にたどり着き、その怠慢捜査を暴いた桶川ストーカー殺人事件。冤罪と〝真犯人〟の可能性を示唆した足利事件。いずれも社会を大きく動かした調査報道である。
この2つの報道で名を馳せた一匹狼の事件記者が、〝真実〟に迫るプロセスを初めて明かす。
白熱の逃亡犯追跡、殺人犯との直接対決、執念のハイジャック事件取材、〝三億円事件犯〟や〝時効〟との闘い、記者クラブの妨害など、写真週刊誌「FOCUS」時代から、30年以上の取材経験を余すところなく盛り込んだ、手に汗握るドキュメント。
凄絶な現場で格闘しながらつかんだ、真偽を見極める力とは? 誰のための、何のための報道か――その原点を問う、記者人生の集大成!

【目次より】
第一章  騙されてたまるか――強殺犯ブラジル追跡
第二章  歪められた真実――桶川ストーカー殺人事件
第三章  調査報道というスタイル
第四章  おかしいものは、おかしい――足利事件
第五章  調査報道はなぜ必要か
第六章  現場は思考を超越する――函館ハイジャック事件
第七章 「小さな声」を聞け――群馬パソコンデータ消失事件
第八章 〝裏取り〟が生命線――〝三億円事件犯〟取材
第九章  謎を解く――北朝鮮拉致事件
第十章  誰がために時効はあるのか――野に放たれる殺人犯
第十一章 直当たり――北海道図書館職員殺人事件
第十二章 命すら奪う発表報道――太平洋戦争

 

 

【この本の紹介】

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 この著者は記者クラブに所属するような大手新聞社記者でなく、新潮社出版の写真週刊誌「FOCUS」に所属したジャーナリストになります。そのため警察の動きとは異なる独自の捜査と証拠で事件の真相を探っていった人になります。

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 有名なところでは「桶川ストーカー殺人事件」です。これは殺された被害者が警察への相談をすべて無視し、全く対処せず被害者を見殺しにしたばかりか、記者クラブに被害者が水商売をしていて殺されても仕方ない人間だったと報道させ、被害届の提出などを行った事実を隠蔽・改ざんした有名な警察大不祥事をスクープした人になります。この本ではストーカー殺人事件をどのように暴いたか、またそれ以外にも関わった殺人事件を追った記録なども書かれています。

 

【筆者主体文章ゆえの欠点】

 この本は別の誰かの証言や事件の顛末などを第三者として追ったわけでなく、筆者自身の体験談に近い本になっています。そのため文章全体が一人称視点で書かれており、具体的なデータ、図などが出てこないためなかなか文章をイメージしづらいものとなっています。

 加えて主体であるが故にときどき文章が暴走している箇所があり、「いや、あんたその文章の前後繋がらないんだけど、問題はそこじゃないだろ」という章がいくつかあります。

 具体的には10章の時効を扱った殺人事件の中である大手新聞社が捜査状況を全国紙でリークしてしまったせいで、自供を引き出せるまで追い詰めていた犯人を逮捕することが出来なくなってしまった、という話が書かれています。そのせいで容疑者が殺意を否認→傷害致死はその時点で時効を迎えていてあてはめれない→殺意を証明できず殺人罪が当てはまらず無罪→時効なんてクソだ!と筆者はなったと語っていますが、いや、それよりリークしやがった大手新聞社に触れろよ、問題そこだろと。そこには恐ろしいくらい全く触れられてないです。第5章でこのようなスクープ、「エゴスクープ」について軽く触れられますが、ほんと軽く触れる程度です。

 またふれられている事件は大きく3つにわけて①殺人事件 ②ハイジャック ③北朝鮮拉致の3つとなっていますが、①以外は文章全体がふわっとしてます。読んでても「え、うーん。それくらいならわざわざ言われなくても・・」というような、殺人事件を扱った章では核心に触れることもありましたが、それ以外がそこらで報道されてるレベルしか触れられていません

 

【総評】

 章によって当たりはずれの差がひどすぎる、といったのが読んだ感想です。無理して全章読まなくても、好きな章だけ読めばいいと思います。